先輩就活生が考えていたこと、やっていたこと(1人目:慶應・理工・修士・男子)

2014.05.17

マタタビ

今回は、慶応義塾大学の理工学研究科に在学中で、株式会社リクルートホールディングスに内々定が決まったWさんに話をお聞きしました。

なぜ理系なのにリクルートに就職するのか?就活はいつ頃、何をするところから始めたのか?その全貌を生の声のまま、お送りしていきます。

なお、このシリーズのコンセプトは、こちらに記載させて頂きました。


就活のはじまり

芳野:今日は取材にご協力頂きありがとうございます。Wさんは、理工学研究科で固体物理の研究をしているそうですが、リクルートに就職されるそうですね。その辺のお考えなんかもお聞きしていきたいと思います。よろしくお願いします。

Wさん:こちらこそ、よろしくお願いします。

芳野:就活を始めたところからお話を聞いていきたいのですが、就活をスタートさせたのは、いつ頃ですか?

Wさん:最初に就活を意識したのは、修士1年の夏ですね。夏のインターンで、野村総研に申し込んだのが最初です。大学4年生のときに、理系学生が集まるイベントで野村総研の内定者がいて、僕が「日本の企業をもっと元気にしたいんですよ!」と言ったら「それ、うちでできるよ。」って言われたんです。そのときは野村総研以外の似たような企業、例えば三菱総研とかはまだ知りませんでした。野村総研だけ知っていたんで、とりあえず夏のインターンにエントリーしました。

芳野:野村総研ってシンクタンクやコンサルやSEなど、いろんな部門がありますけど、どこに興味があったのですか?

W氏:僕はコンサルですね。SEとか全然受けてなかったです。その時点では「コンサル行きたい!」とまでは考えていませんでしたが、純粋に「コンサルってどういう仕事をしているのかな」っていうのが知りたかったんです。

芳野:なるほど。じゃあ、その当時は何か「こういう会社に入りたい」みたいな基準とかはありましたか?

W氏:修士1年の夏は、研究が結構忙しくてあまり考えていませんでした。今思うと逃げていたんだなと思います。就活に対して具体的に何かを描くことができなかったんです。

芳野:まあ最初はそんなもんですよね(笑)。ぜんぜん普通だと思いますよ。その後、本格的に就活を始めなきゃって思い始めたのはいつ頃ですか?

W氏:修士1年の9月ですね。本格的にエントリーシート書いたりテストの対策したりしたのは10月からです。

芳野:結構早いですね。9月には、まず何をしました?

W氏:最初に業界マップ見たかな……。野村総研のことを調べていて、コンサルやシンクタンクと呼ばれる業界のことを知ったので、その業界のマップを見ようと思ったんです。そうしたら、他にも外資・内資問わず、いろいろな企業があることが分かったので、そこで知った社名をググったりしてまた調べていきました。

W氏:あとは、Goodfindっていう会社が、無料で就活生にロジカルシンキングやグループディスカッションの対策をやってくれるのでそこに参加しました。そこにいる社会人は、コンサル出身の人が多かったので、「コンサルの就活ってどうやってやったらいいんですか?」と聞いたりして情報収集していました。

 

コンサルに興味を持った理由

芳野:へぇ~、そんな感じで就活の感覚を掴んでいったんですね。ところで、最初にコンサルがいいなと思ったきっかけは何だったんですか?

W氏:就活を始める前、アメリカ横断をしたんですけど(笑)、そのときにアメリカの外資コンサルをしている人の講演に参加したんです。英語だったんで、内容は正直よくわかんなかったんですけど、単純にその姿がかっこいいなと思ったんです。たしか、アメリカ経済とかを語っていたと思います。コンサルって幅広い業界を扱っているからいいなってそのときに思いました。

W氏:それで、就活で外資系コンサルは採用時期が早いから受けていました。A.T.カーニーという会社の最終選考では、4日間の個人ワークをやったんですけど、そこで模擬ケースの売上向上策を提案して最終日にプレゼンをしました。そのとき、現状分析をして数値データから仮説を立て、裏付けを取って、ここを改善したら良くなるんじゃないかというのを考えたんですが、世の中の動きを分析して改善策を提案をするっていう体験がすごく面白かったんです。そのときに初めてコンサルタントって面白いなと思いました。

芳野:たしかに、面白いですよね、そういうのって。分析して原因を探ったり、改善策を考える思考って、思いっきり理系学生に向いているんじゃないかと思います。実際、理系からコンサルに行く人は珍しくありません。ちなみに、他のコンサル会社も受けたんですか?

W氏:受けました。でも、マッキンゼーやベインは筆記が難しかったですね。特に、マッキンゼーは筆記が英語でちんぷんかんぷんでした。就活生の間では、あれは帰国子女じゃないと無理だと噂が立つくらい難しかったです。ベインは合同説明会のときの社員さんの雰囲気が良かったのでいいなって思ってました。あとは、会計系のデロイトとPwCですね。日系はドリームインキュベータの採用時期が早かったので受けました。

芳野:ドリームインキュベータって、数年前から優秀な就活生の間で流行っていて、誰にインタビューしても「ドリームインキュベータがいい」って言っていましたね。今でも、良い企業という印象なのですか?

W氏:扱うクライアントとかはよくわからないんですけど、キレ者が多いらしいです。選考は全部グループディスカッションで進んで行くんです。1対1とかの面接ではなくて、グループディスカッションの中でチームワークを見られます。キレ者の中でもなにか光るもの持っている人を見出すっていう選考でした。

芳野:そのグループディスカッションには社員も入っていたんですか?

W氏:社員は入ってきますね。自分を説得させてみろ、みたいな感じでした(笑)。それで、グループディスカッションが終わると部屋で待機して、受かった人だけ呼ばれるんです。僕は受かって次の部屋に行けたんですけど、その選考のやり方に「ちょっと違うかな」「合わないかも」って思いました。

芳野:なるほど。実はこれまでにいろんな就活生の話を聞いてきて、仕事内容みたいな事業内容とか、雰囲気みたいな組織風土以外にも、選考のやり方で企業に対する評価をする人って意外と多いんですよね。それで、コンサル系の就活はいつ頃まで続いていたんですか?

W氏:修士1年の12月くらいには、一通り選考が終わって、一旦僕の就活は落ち着きました。

 


志望業界の移り変わりと情報収集のやり方

芳野:コンサル系の就活が修士1年の12月くらいに終わって、その後はどんな感じで就活を続けていったんですか?

W氏: A.T.カーニーというコンサル会社のワークを受けていたときに感じたんですけど、僕は経営戦略よりもマーケティング戦略を考える方が楽しいなって思ったんです。コンサルは”企業のお医者さん”と例えられることが多いですが、僕は企業を相手にするだけじゃなくて、自分が生み出したモノが実際に生活者に届いて、そのリアクションが見れるときがワクワクするんだな、って思いました。よく考えたら、今までやってきたこととも、そういうユーザー目線で何かを届けるということだったんです。

芳野:なるほど。具体的にはどんな業界が合致してると思ったんですか?

W氏:マーケティング分野なら広告業界かなって思いました。コンサル業界を調べていたときに、博報堂や電通がコンサルの子会社を3年前くらいに作ったということを知っていたのもあって、博報堂と電通はまず受けようかなと思いました。そこから広告業界の業界研究や企業研究をしましたね。

芳野:広告系にも志望業界を広げていったんですね。

W氏:そうですね。あとは、今までWEBページをいろいろと作ってきた経験もあったので、IT・WEB系の企業、例えば、サイバーエージェントやDeNA、楽天、リクルートなどにもエントリーしました。

芳野:新たに受ける業界の領域を広げていこうと思ったとき、どうやって情報収集したんですか?やっぱりリクナビとかマイナビ?

W氏:「IT系 企業」みたいに入力してググりました。そこで知っている名前の企業のホームページから採用情報を調べました。僕はリクナビやマイナビは使わない派でした。登録はしていましたけど。リクナビやマイナビで使ったのは、テスト対策や適正診断くらいですね。そこからエントリーはしなかったです。

芳野:なるほど。ググって、直接企業の採用ページを見てたと。僕が今まで会ってきた上位大学の就活生も、そういう人は多かったですね。一応登録だけする、みたいな。他には何か情報源はありました?

W氏:OB訪問をしました。大学で所属していた学園祭関連のサークルに、就活支援用の組織があったんですよ。そこで志望企業を伝えると、例えば5コくらい上の先輩がOB訪問させてくれました。慶應はたくさん人がいるので、理系の修士から広告系やIT系・WEB系に行った先輩を探して会いに行きました。OB訪問は、会ってくれた先輩たちが自分にフィードバックをしてくれて良かったですね。電通で3人、博報堂も3人くらい先輩がいました。

芳野:OB訪問は、全部で何人くらい会いました?

W氏:(就活ノートを見ながら)11人ですね。でも、みんなもっと会っています。本当に行きたい企業なら、その会社だけで10人くらい会ったりとか。会ったOBにお願いして、さらに別の人を紹介してもらって会うこともあるみたいです。でも、僕は3人くらい会ったらだいたいどんな感じか分かったので、むやみに会う人数を増やそうとは思いませんでした。

芳野:同じ会社だと、言うことも似てくるんでしょうね(笑)。OB訪問って、平日の昼間に職場で会ってくれるんですか?

W氏:平日の昼間と夜ですね。基本的には平日でした。昼にごはんを一緒に食べながら話したり、夜に会議室で話したりもしました。

芳野:そこで、「うちに来いよ」みたいな感じで誘われてたことはありましたか?

W氏:ないですね(笑)。慶應卒の博報堂の人事の人を紹介してもらって、2時間半くらい話したときは、お互いに何となく惹かれ合ったような気がしたんですけど、それで就活が有利になったみたいなことは全然なかったです。まあ、惹かれ合ったというのは僕の思い込みかもしれませんが(笑)

芳野:いや、直感は大事ですよ。本当に(笑)。いずれにせよ、OB訪問というのは純粋に後輩のためにアドバイスくれるものなんですね。

W氏:そうですね。OB訪問はそういう印象でした。

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(就活が終わったら、すぐさま髪型を戻したW氏)

サークルや研究のこと

芳野:一旦ここで学生時代にやっていたことの話を聞かせていただきたいと思います。先ほど大学のサークルの話がありましたが、どんなことをしていたんですか?

W氏:まずは、大学入学当初から学園祭関連のサークルに入っていました。自分が作ったもので人が喜んだり、「面白かったよ」って言ってもらったりと、反応がその場で見えるのが嬉しくて、それをモチベーションに活動していました。この学園祭運営サークルが、先ほどお話したOB訪問の紹介をしてくれたサークルです。

芳野:そうだったんですね。

W氏:学園祭の活動は1年間単位なので、時間に余裕のある時期もありました。そこで何か面白いことしたいなと思い、ラジオ番組を作りました。YouTubeにUPしたりして、学園祭の認知度を上げようと頑張っていました。

芳野:そのラジオではパーソナリティーをやっていたのですか?

W氏:パーソナリティーもやっていましたね。メジャーデビュー直前のバンドをゲストに呼んで、インタビューなどをしていました。大学1年生の冬には、動画も作り始めました。それまではパソコンではネットサーフィンしかしたことがなかったのですが、動画編集をしていく中で、ネットサーフィン以外のパソコンの使い方や楽しさを知りました。

芳野:いろいろやってると、知識やスキルも広がっていっていいですよね。ところで、研究のことも教えて頂けますか?まだ在学中なので、今もやっていると思いますが。

W氏:研究は固体物理、物性物理です。具体的には超伝導という抵抗ゼロで電気を流す現象があって、それを発現する物質を探すという研究です。なので基礎的な物質探索ですね。化学系の知識も必要でした。

芳野:なぜその分野に行こうと思ったのですか?

W氏:常温に近い温度でも超伝導を発現する見つけられれば、海底ケーブルなどを使って、海外で発電した電気を日本に持ってこられるって知って、純粋に「夢があるな」と思いました。でも、実際はそんな簡単に見つからないんですよ(笑)。ただ、新しい物質を作って、物性を測定していく中で面白い現象が見られれば価値のある結果になるので、研究をしているうちに物性物理は学術的に面白いなと思うようになりました。

芳野:へぇ~。具体的にはどんな研究をやってるんですか?

W氏:僕がやっているのは重い電子系、Heavy fermionっていう分野なんですけど、そこではまだ理論が構築されていない現象が起こっているんです。重い電子系の中で超電導を示す物質があって、それは今までの重い電子系のBCS理論では説明ができないんです。そういうのが面白いなと思って。それで、新しい超電導を示す物質を作っていかないと理論構築ができないので、まずは物質探しをやってます。

芳野:そういう研究関係の仕事に就こうとは思わなかったのですか?

W氏:最初から視野に入れてなかったですね。物質自体がどういうものかという研究テーマは、学術的な価値があるのですが応用面が少ないんです。例えば、今使われているものだと、リニアモーターカー、風力発電、MRIくらいですね。同じ分野にいる先輩や同期を見ても、電気・ガス・JR・NTTなどのインフラ系へ就職する人が多いです。

芳野:思いっきり専門分野というよりは、研究をする中で培った理系の幅広い知識を活かした就職ということですね。

W氏:そうですね。僕も学部の時は物理情報工学科で制御や電子回路系をやっていたので、それは就活をしていて企業から評価してもらえましたね。一部、研究内容をそのまま活かせる分野、例えば電線を作っているフジクラという会社に就職した先輩や同期もいることにはいますけど。

芳野:僕も素粒子物理という企業では役に立たない分野の研究をしていたので、みんな付随的に得た回路やプログラミングの知識を活かせる仕事に就いてます。僕以外はね(笑)。ちなみに、ドクターに進んで研究者になろうとは思わなかったのですか?

W氏:コンサルの就活を始める前には少し考えていました。修士1年の夏に、スタンフォード大学の人と共同研究をするために、アメリカに行ったんです。そこで施設見学をさせてもらいました。国立の研究所が敷地内にあって、そこでは日本のSpring-8では予約も取れないような実験装置をばんばん使うことができるんです。これは最強だなって思いました(笑)。というのも、物質を作る研究って、作るだけでは意味がなくて、その物性・物理量を測らないといけないんです。物性・物理量を測ると面白いことがわかるのに、測れていない物質がうちの研究室にもたくさんあるんです。それを向こうに持って行って測れれば絶対に面白いことがわかるのに!と思ったんです。でも、外部に頼んでいるとファーストオーサーを取られてしまうので、自分自身が海外に行ける機会があればいいなと思っていました。先生も、共同研究した先輩からも「ドクター行きなよ」って勧められていたんですけど、就活をしてから考えようと思っていました。

芳野:就活してみたら、ドクターに行く気がなくなったんですか?

W氏:就活していくうちに思ったのは、研究者ってあまりチームで研究するという感じではなくて、一人でやらなきゃいけないじゃないですか。それは自分の性に合わないなと確信して、研究者を目指すのはやめました。

芳野:リクルートに就職するとなると、今後はサイエンスに携わる機会が減っていくと思いますが、それに対する寂しさはありますか?

W氏:あります。応用物理・固体物理の分野ってテクノロジーの基礎になるんですよね。パソコンの中身ってほとんど固体物理で説明ができるし、応用物理の進化があってこそ、ハードディスクやメモリーディスクも小さくなっていったんですよ。今後も新しいテクノロジー、デバイスに関わっていきたいなとは考えています。僕が携わるリクルートの部署はそういうことができるというのも大きな決め手になりました。

 


リクルートとの出会い

芳野:学生生活についてのお話、ありがとうございました。では、また就活の話に戻したいと思います。コンサル業界の後、広告系もいろいろ受けたということだったんですけど、最終的に内々定承諾をするリクルートホールディングスにはどのように出会ったのですか?

W氏:広告系の会社をいろいろ調べている時に、「リクルート」ってググって、修士1年の2月末に、座談会に参加しました。そこでは、4人の社員さんと話せる機会があったんですけど、社員さんはみんな私服で、話も上手で気さくな印象を持ちました。その時、社員の人達と話をしていて、「ワクワクする瞬間」っていうのが自分と似ているなと思いました。「みんなでそれぞれの専門性を持ち寄って1つのことを達成していく。そんな中で、自分もみんなから学ぶことができる。そこで出来たものが多くの人達に届いて、その反応が見られるっていうのがワクワクする瞬間だ!」とみなさんが言っていて、その雰囲気が自分に合うかもと思いました。

芳野:僕もリクルート系の知り合いは多いですが、その話、すごく良く分かります(笑)

W氏:さらに、合言葉は「じゃあ、やれば」で、自ら考えて行動すればやりたいことを実現できる環境だと聞きました。大学2年の冬に理系イベントなどの活動を始めたんですけど、その時も「じゃあ、やれば」とある人から言われたのがきっかけだったんです。なので、とても共感しました。そういう風土がそういう風土があるなら、今まで自分が楽しくやってきた活動の延長線上でビジネスもやっていけるのではないかと思いました。さっき言った「ワクワクする瞬間が同じ」というのと、今の「『じゃあ、やれば』という合言葉」、この2つがすごく大きかったです。

芳野:では、選考が進むに連れて徐々に志望度が高まったというよりは、最初の接点の時にグッとくるものがあったということなんですね。

W氏:そうですね、たしかにグッとくるものはありました。ただ、1月くらいから内資系のコンサル・シンクタンクの採用が始まってて、野村総研のインターンに参加したら、「マーケティングから商品開発をする」といったテーマを与えられたんです。そのとき、やっぱりコンサルって楽しいと思ったので一気に野村総研の志望度が高まりました。その時点では、正直リクルートは第2志望群くらいだったんです。それから先ほど話したリクルートの2月の座談会を経て、リクルートが第1志望群になり、リクルート・野村総研・電通・博報堂が自分の中でひしめきあう状態になりました。

 

内定承諾先をどうやって決めたか

芳野:その第1志望郡の4社の中から、どういった経緯でリクルートに決まっていったんでしょうか?

W氏:リクルートって面接に1時間くらい時間をとってくれるんです。なので、こっちも話せるし、向こうのこともよく知れたんです。自分はただ話をしているのに、向こうはちゃんと見てくれて、自分の良さを掘り出してくれるような面接をしてくれたので、いいなって思いました。面接を受けていく中で、第1志望群の中でもリクルートがググッと抜きん出てきました。

芳野:そうだったんですね。さすがリクルート。採用のやり方が上手いですからねぇ(笑)。ところで、リクルートっておそらく事業会社の方でも採用を行っていますよね。ホールディングスだけ受けて、他の事業会社は受けようとは思わなかったのですか?

W氏:全く思いませんでした。ホールディングスしかエントリーを出していなかったです。リクルートがやっている、SUUMOやゼクシィなどのどれかに特別に興味があるわけではないんです。全部いいなって思っていて。ホールディングスの採用は、WEB系をやるという職種だけは固定されてて、どの部署に配属されるかは3年後に決まるんです。最初はホールディングスの中で新規事業をやることもあれば事業会社に出向することもあります。どこにでも行けるんです。自分はそうやって幅広くいろんなサービスに関わって働くことを意識していたので、そこは譲れなかったですね。

芳野:徐々に志望度が高まったりと変化していく中で、最後の方は迷いませんでしたか?「本当にリクルートでいいのかな?」とか、「やっぱり別の会社の方がいいかな?」とか。

W氏:最後に会計コンサル会社のPwCと悩みましたね。ちょうどPwCの内定もらった次の日に、リクルートの人事面談があったんです。それは、最後のマッチングをするという面談でした。コンサルも楽しいけど、就活をやっていくうちにリクルートの方が楽しく仕事ができるんじゃないかと思うようになりましたので気持ちは決まっているんですけど、最後の一押しをしてほしいという状態で、リクルートの人事面談に行きました。そこで2時間くらい、リクルートとPwCのどちらが自分にとっていいか話をしました。人事の方も、僕が昔から大切にしてきた価値観などを聞いてくれて、最終的にやはり、リクルートではないかという結論に達しました。

芳野:それでリクルートを選んで、PwCの方は辞退したんですね。

W氏:はい。でも辞退の電話をするのはとてもつらかったです。PwCも合計6時間くらいは僕の選考に時間を使ってくれていましたし、お互いのことをかなり分かるようになってきていたと感じていたので、辞退するのは別れのようで悲しかったです。

芳野:就活で苦しむポイントの一つはここですよね。最後は意思決定をしなければならない。

W氏:はい、内々定をたくさん貰うのを就活の目的にしてしまっている人もいると聞いたことがありますが、貰いすぎても辛いだけだと感じました(笑)

芳野:たしかに申し訳ない気持ちはありますよね。内々定を出してくれた企業というのは、自分を評価してくれているってことですからね。まあでも僕はそこは割りきっていいと思いますよ。企業も第一志望だと言ってくれた学生をバンバン切ってるわけですから(笑)

芳野:ちなみに、先程のリクルートに決めたところの話なんですけど、ここは重要なのでもう少し詳しく聞かせてください。最後、本当に「ここにしよう!」と思えた決め手はなんだったのですか?

W氏:決め手はリスクを背負った意思決定をできるということでした。僕は将来的には経営者になりたいと思っているのですが、ある人から「経営者は自分自身で意思決定をしてきた経験がどれだけあるのかが重要」と言われたことがありました。自分もそう思っていて、コンサルって意思決定するものだと最初は思っていたんですけど、どっちかというと提案して相手に意思決定を委ねるっていうことに気付いたんです。そんな中、20年後、30年後になりたい自分を考えて、「リスクを背負った意思決定をするような、たとえば新規事業のマネージャーとかになっていく方がいいんじゃないか」と言われて、それが一番の決め手でした。

 


今の自分が作られてきた体験

芳野:Wさん自身の就活のお話、ありがとうございました。後輩のみなさんにとっても、かなり参考になるお話だったと思います。ここからは、時系列を無視して、いくつか気になることを質問させて頂きたいと思います。

W氏:はい、なんでも大丈夫です(笑)

芳野:まず、Wさんはリクルートと同じく「じゃあ、やれば」という思考特性を持っていたようですが、これはなぜだと思いますか?・・・というのも、理系の人ってどちらかと言うと「何で?」とか「根拠は?」みたいに、遡る思考が発達している傾向にあると思うんですよ。実際、研究室でも会社でも、事実とか原因は述べても今後どうするかを考えてないので「で?」「だからどうするの?」みたいに突っ込まれる人が多いんですよ。

W氏:一番根本にあるのは、高校生のときの文化祭実行委員ですね。僕、高校生の時は前に立ったりするタイプじゃなくて、どちらかというと意見も言わないタイプでした。一度、ピタゴラスイッチを作ったことがあって、すごくやりたかったので積極的に自分から買い出しに行って、設計もして、みんなも巻き込んだ経験をしました。その時に初めてみんなで何かをやるということをしました。それがすごく楽しくて、反響もあったというのが成功体験になったんだと思います。

芳野:成功体験ですか。これは大きなヒントを頂いた気がします。

W氏:次の年には、お化け屋敷をやったのですが、小さな部屋でより多くのアトラクションを楽しめるように設計したら、それが2時間待ちになったんです。お年寄りから子どもまで楽しそうにしてくれたのを見て嬉しかったのを覚えています。その時も、他人を巻き込んで、あまりやる気のない人も「やってみたら楽しいって!」という感じで巻き込んで進めていけたことが、きっかけとしてあるのかなと思います。大学に入ってからも、活動をせずに過ごそうと思えばそうできちゃうんですけど、それじゃ楽しくないし、いろんなことに挑戦したいなって思って上京してきたので、それを実践するようにしていました。

芳野:成功体験が次の成功体験を創りだしていったんですね!一歩目が勝負ですね。

 

就活で印象に残っていること

芳野:次の質問ですが、就活をやってきて面白かったイベントってありましたか?

W氏:今思うと、コンサル系の企業のケース面接は楽しかったです。理系だと経営・経済の仕組みもあまり知らないので、いざ「売上を上げるためにはどうすればいいか」みたいなテーマを出されても、ある程度の前知識がないと答えられないんです。そんな中で自分で学んでいったので、以前より視野も興味も広がりました。最初はケース面接苦手だったんですけど、最後の方は自信を持って楽しめていました。

芳野:逆に嫌だったことはありますか?

W氏:改善して欲しいと思ったのは、エントリーが7000~8000くらいあるような人気企業の採用方法ですね。テストやエントリーシートの段階ではあまり人数を絞らず、ほぼ全員一次面接をやる企業は、面接時間が10分くらいしかないんです。ほぼ流し作業でしたね。

芳野:あまりにも面接時間が短いと、ちゃんと見てもらえてるのか不安になりますよね。まあ、実際は10分でも結構分かるんですけど、学生からしたら「えー」と思うのも理解できます。

W氏:そんな中、ADKという会社は7000集まるエントリーシートは手書き3枚で結構重いのですが、そのうち受かるのが2000くらいって言われているんです。通った2000人はグループディスカッションで1500くらいに削られて、その後の面接が40分あります。ちゃんと自分という人間を見てくれる選考方法だなと思いました。

芳野:10分くらいで全員面接するくらいだったら、エントリーシートで人数絞ってでも、ちゃんと一人ひとり見てほしいということですね。

W氏:別の広告系人気企業では、エントリーシートの内容をかなりちゃんと書かなくてはいけない割に、エントリーシートの選考は全員通るし、それが面接で使われることもなくて、何で書かせるんだろうって感じで微妙でしたね。

芳野:これは、後輩就活生じゃなくて企業の採用担当者に参考になる話ですね(笑)。ところで、今は就活が終わって、研究に集中しているのでしょうか?

W氏:リクルートでWEBサービスを一つ作ったらどうかと言われたので、今はもうちょっとプログラムを勉強したいなと思っています。エンジニアになるわけじゃないけど、エンジニアと対等に話せるディレクターになっていきたいので。でも研究も好きですし、7月の発表に向けて研究しています。

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(左:アツい話を爽やかに語ってくれるW氏)

後輩へのアドバイス

芳野:就活を振り返ってみて、今後就活をやっていく後輩のみなさんに何かアドバイスはありますか?

W氏:はい。まずは、エントリーする前に、早いタイミングで自分のサークルなどのいろんな先輩にもっと会って、その人はどういう就活をしたのかをヒアリングしておくと良いと思います。プレエントリー開始の2ヶ月前くらいから意識して話を聞いておくといいです。それで、聞いた話を自分の中で整理して、就活に対するモチベーションを上げておくのは大事です。それをしておかないと、固定概念で視野を狭めてしまうと思うんですよ。自分も最初は「コンサルだ!」って決めつけていましたし。でも本当に自分の行きたいところって最初の頃は分からないし、幅広くいろんな業界の先輩から話を聞いておくのが必要だと思います。

芳野:まずは広く、ですね。すごく分かります。他にもアドバイスありますか?

W氏:エントリーが始まった後くらいの時期にしておくべきことは、人生の10大イベントを絞り出すことです。大変ですけど10個は出した方がいいです。10個絞り出したら、そこからお互いの関係性が分かるように線を引いていくんです。このイベントからこういう思考になって、こんな行動を起こして、そこでこういう結果が得られたっていうのが分かるように。それをすることによって、自分の中で自信がつくんです。たとえば面接で「小学校、中学校ではどうだったの」って聞かれても、頭の整理ができているので、すぐにパッと答えられるんです。僕は人生の10大イベントを書きだした紙を、いつも胸ポケットにお守りとして入れておきました(笑)

芳野:事実から思考していくのは大事ですよね。何もないと考えようがないので、まずは事実を書き出すっていうのはとても有効な自己分析方法だと思います。

W氏:あとは、自己分析をした結果を踏まえて、仕事をすることの目的や仕事への想いを自分の中で持っておくべきだと思います。「なんで自分は仕事をするんだっけ?」みたいなことを。面接でも、「こういう想いがあるから仕事したいんです、それでその想いを実現する場として、御社を志望しているんです。」という結び付け方が、一番しっくりくるんじゃないかと思います。

芳野:どこで働くのかということよりも、そもそもなぜ働くのか、ということですか?

W氏:はい。そのことを僕も見落としていました。実は僕、就活がうまくいかなかったら田舎に行ってスローライフを送ろうって半分くらい思っていたんです。もう半分はドクターに進もうかなって。修士1年の3月にOB訪問をした時、先輩に「僕、スローライフでもいいと思っているんですよね」って言ったら、先輩が「じゃあなんで仕事するの?仕事に対する想いって何?」って言われたんです。そのときハッとしました。それで、自己分析をもう一回振り返って、自分が仕事をする意味ってこれだなっていうものを見付けました。面接の自己紹介などでそれが言えれば、働くことをちゃんと考えているという評価もされると思います。

芳野:そうですね、たしかに企業はそういうのを考えてない学生が多い!と怒ってます(笑)。「仕事観」「職業観」「就業感」といった言葉で言い表されますけど、そもそも働くって何?とか何のために働くの?っていうのを語れるのは良いアピールになるでしょうね。ところで、ここに、このインタビュアー企画のメンバーで大学生の髙﨑さんがいるんですけど、何か先輩に聞いておきたいことはありますか?

高崎:私は薬学部なんですけど、薬学部って、就職場所が病院か薬局かで絞られてしまっているんです。なので、就活というものをいまいちイメージすることができないんです。

芳野:なるほど、質問のしようがないと(笑)

W氏:ある会社の人事の人が言ってたんですけど、理系の人って最初からこの道だって決めつけてしまう傾向にあるらしいんですよ。もちろん専門性を活かすのは良いことなんだけど、その人はもったいないって思ってるみたいでした。就活は自由なんだから、もう一回、自分がやってきたこととか、ワクワクすることとかは何なのかを、もっと幅広く見つめ直すのもアリかもしれませんね。自分の人生で勉強してきた時間なんてこれからの仕事をしていく時間に比べたら短いんだし。僕の周りでも「入社したらこれしたい!」って言える人は少ないんです。今から入社後に何をしたいか考えるのは難しいと思うけど、その想いがないと、入社してからまた自分探しをしなくてはいけないから大変な気がします。

芳野:「こういう業界に行きたい」「こういう会社に入りたい」を言う人は多いですけど、「これがしたい」という人はあまりいませんね。「消防士になりたい」「消防署で働きたい」という人はいるけど、「火を消したい」「人命救助をしたい」という人がいない、みたいな感じです。コレ、どっかで見た例のパクりですけど(笑)

W氏:そうですね。それに、友達を見ていても、自分の想いをもって就活できていた人の方が、自分の納得できる結果に終わっていることが多いと思います。

芳野:大学生と話していると、「やりたいことが分からない」っていう人が結構多いんですけど、そういう後輩には何てアドバイスしますか?

W氏:何したらいいか分からないっていうのは、自分のことを他人に聞くというのが苦手なんだと思います。自分のことよく見てくれているのって、結構友人なんですよね。就活が終わって、僕がリクルートに決めたことを話すと、友人からは「リクルートっぽいよね」って言われて、やっぱり友人は良く見てるんだなと思いました。僕は就活中、恥ずかしがらずに、長所・短所を友達に聞いたりしていました。人に聞くことで、自分が何をしたいのかっていうのを、見つけに行く姿勢を持つことが大事だと思います。先輩や友人の話を聞いていると何か「いいな」って共感できるポイントや材料が絶対あるので、それを見つけに行くことですね。

芳野:素晴らしいアドバイスをありがとうございます。今日はためになるお話をたくさん聞かせて頂き、本当にありがとうございました。

W氏:こちらこそ、ありがとうございました。僕も就活のことを思い出して、いろいろ話せて楽しかったです。面接ほど緊張しませんし(笑)。それに、自分が考えたことや決めたことを振り返って、入社に向けて今後の決意を固めることができました。

 


 

今回は、初回ということで、いろいろ暫定的にやってみましたが、いかがでしたでしょうか?ツイッターなどで感想を頂けると嬉しいです。

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※今回のスタッフ

髙﨑理子@riko_kuma)、芳野真弥(@m_t_t_b

マタタビ 社会人

コミュニケーション教育、キャリアアドバイス、サイエンスコミュニケーション。 理系はもっともっと活躍できる。大学生活はもっともっと面白くできる。

@m_t_t_b

http://shinya-yoshino.hatenablog.com/

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